サラリーマンはもっと税制や社会保障に関心を持たないと長期投資は継続できない!

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◆サラリーマンが必要経費を申告すれば所得税を減らせる「特定支出控除」

2016年7月12日の日経新聞にサラリーマンが仕事の必要経費として申告すれば所得税を減らせる「特定支出控除」の利用者が減少したとの記事が掲載されていた。

「特定支出控除」は、サラリーマンが研修費や仕事関連の書籍の購入や取引先との交際費、アオキや青山が取引先の場合、先方の社員優待で購入した背広も場合によっては、必要経費に認められる場合もある制度ですが、2013年度から対象が図書費や衣服費や交際費にも拡大されたが、使い勝手が悪く利用者は約4,000万人いる源泉徴収の給与所得者の0.004%でしかない。

「特定支出控除」の概要は、下記の通り。

・仕事関連の研修費や書籍の購入などの費用を収入から差し引き税負担を軽くできる制度。

・利用者:会社員・公務員などのサラリーマン。

・利用範囲:対象経費の合計が給与所得控除の合計額の2分の1を超えると利用できる。

・利用条件:会社から証明書を発行してもらう必要がある。

対象経費を支払った領収書が必要。

利用が拡大しないネックは、「会社の証明書」と「給与所得控除の2分の1を超えること」

「特定支出控除」制度の利用が増えない理由の一つは「会社の証明書」が必要であることがあります。

例えば自分の担当する取引先の部長から会食に誘われその経費を自腹で払った場合、会社によっては会社から経費の上限が決められている場合があり、全額会社に請求できないことがあります。

この場合、「特定支出制度」の利用が浸透している会社であれば、何の問題もなくこの差額を「特定支出制度」の申請をすることで会社から証明書が発行されます。

しかしながら、この「特定支出制度」が浸透していない会社(今はほとんどの中小企業では利用されていない模様)では、そんな交際費を会社に請求すれば「お前が勝手に取引先と飯食って支払ったものを会社に払わさすな!」ってなことになり自腹で払った上、会社に「特定支出制度」の証明書を発行してくれって言っても「なんじゃそれ!そんな制度、うちの会社では採用してないわ!」ってことになり結局、担当者が自腹で支払って終わりです。

第二に「対象経費の合計が給与所得控除の合計額の2分の1を超えないとこの制度が利用できない。」と言うことは、普通のサラリーマンではほとんど利用できないと言うことです。

<例えば、給与所得が400万円で特定支出額が50万円のサラリーマンの場合>

50万円(特定支出額)-{(400万円×20%+54万円(給与所得控除額))×1/2}=-17万円となり、この例ではマイナスなので適用されません。

ってことは、400万円のサラリーマンがこの制度を利用しようと思えば、67万円以上の金額を交際費や研究に必要な図書の購入、仕事に関連した資格の取得費などに支出しなければ利用できないことになります。

普通のサラリーマンが年間67万円以上も関連経費に支出していたら家計が破たんしてしまう可能性があり、結果的に利用しづらい制度になってしまっています。

◆サラリーマンは年末調整に象徴されるように、税制、社会保障制度の仕組みを知らなすぎ!

「自営業者は交際費から車まで経費にできて不公平だ!」との意見もありますが、それだけ自営業者は稼ぐだけでなく、支出の方も細かく見ているとも言えます。

普通のサラリーマンが年末調整で税金を徴収されることに文句を言っていたり、年末調整が現金で還付されるのをいいことに嫁さんに内緒の小遣いとして喜んでいたり、一喜一憂している光景を年末に毎回見かけます。「微笑ましい光景ですよね~!」

だけど、たまたま、新聞に掲載されていた特定支出控除の制度ですが、この制度の内容を知っているサラリーマンが何人いるでしょうか?

また、毎年、年明けの給与明細書と一緒に源泉徴収票が入っていますが、源泉徴収票の見方を知っているサラリーマンはどれだけいるのでしょうか?

ここでは源泉徴収票の中身には触れませんが、普通のサラリーマンは会社が税金、年金、健康保険の徴収を肩代わりしてしまっていて、自分で税金や社会保障費がどのように決められているかなんて全然知る必要がありません。

これは、税金や社会保障費を徴収する側にとったら、何も知らない人間から取ることは簡単です。だから、徴収側から見ると年末の光景は「微笑ましい。」と言うことになります。

税金や社会保障費は、どんな生活をしていても関係してくることです。そんな税金や社会保障費の金額じゃなく制度の中身をもっと関心を持たないと、いわゆる「税金と社会保障費は簡単なところから取る。」ってことになり、サラリーマンはどんどん窮屈な生活を強いられるようになってしまいます。

サラリーマンがもっと「税制と社会保障制度」に関心をもてば、必然的に政治にも関心が向けられることになります。

◆長期投資を実践するには、「入るもの」だけでなく「出るもの」にも関心を持つ。

長期投資を継続していくのも「どの銘柄」、「どの投資信託」を選ぶかばかりに目が行きますが、「どの投資信託の信託報酬が安いか?」などもっと関心を持てば、20年、30年の長期投資では信託報酬の違いでは、仮に同じ運用成績であっても長期間の運用では雲泥の差が出てしまいます。

信託報酬

<お金の総合サイト ZAI ONLINEを参照>

また、以前にも取り上げましたが、個人型確定拠出年金では制度の内容をしっかり把握して運用するのと、ただ拠出金を安全資産に置きっぱなしにしておくのとでは、所得控除の優遇税制などの税金の優遇もあり、金受け取り額には雲泥の差になって現れてしまいます。

今の確定拠出年金の運用は、まだまだリスクの内容をしっかり理解して運用している人が少なく、安全資産での運用が大半を占めているのを見ると、サラリーマンの長期投資への姿勢がすけてみえてしまいます。

最後にタイトルにもどりますが、「サラリーマンこそが税制、社会保障に関心を持たないと、長期投資が継続できない。」ことになり、借金大国日本で自分の財産や家庭を守って行くことが困難になることも考えられます。

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